大会長挨拶
第44回医療情報学連合大会
大会長 中島 直樹
九州大学大学院 医学研究院 医療情報学講座
第44回医療情報学連合大会を福岡の地で6年ぶりに開催させていただきますことを大変光栄に思います。
2024年11月21日(木)~24日(日)に玄海湾に面した福岡国際会議場、福岡サンパレスを会場として開催いたします。この地は、JR博多駅からはタクシーで10分、福岡空港からは20分、博多港からは数百メートルと極めて交通の便が良い会場です。
今回のテーマは「デジタルヘルスの新未来」とさせていただきました。プログラム委員長を脇嘉代先生(東京大学大学院 医学系研究科 社会医学専攻 医療情報分野)、実行委員長を山下貴範先生(九州大学病院 メディカルインフォメーションセンター)にお願いし、九州沖縄で医療情報を担当している先生方のご指導を受けて、記憶に残る良い大会にしたいと思います。
デジタルヘルスとは、電子化された健康・医療情報の総称です。電子カルテ、遠隔医療、PHR、AI、治療アプリなどのすべてを包含し、その社会運用までも含めた概念です。例えば電子カルテはこれからの社会の中で単独で発展するのではありません。デジタルヘルスの一つのパーツとして、他のデジタルヘルスの要素と協調しながら大切な個人診療情報が入力、処理、加工、可視化、保存、流通、活用され、患者や市民の健康の向上に、そして健康・医療・介護サービスの改善、医療安全確保、情報セキュリティ確保などにも貢献するものです。さらには、新しい知識の習得、産業の振興にも繋がり、国際競争力にも影響するでしょう。そのデジタルヘルスの基盤として、行政も全国医療情報プラットフォーム構想を打ち出し、法制度/ガイドラインも施行や改正を重ねることによりデータの活用も進み始めました。
そしてこれからは、そのデジタルヘルス社会の中心には患者・市民がいます。従来は医療施設や電子カルテが中心で、多くの患者がその周囲をとりまく概念になりがちでしたが、今後は患者や市民を中心として、電子カルテを始め様々なデジタルヘルスがそれをとりまく概念へと変わらなければなりません。
新型コロナウイルス感染症によるパンデミックを経験して我々はいろいろなものを失い、無力感を感じ、さらに多くのことを学びました。いよいよ始まる「2025年問題」の直前に、医療情報の視点から今後の日本の方向性について議論し、未来の世代へ繋げる、本大会がそのための場となることを心より希望をいたします。